お役立ちコラム

Column

漆喰壁のメリットとは?

暮らしのコラム全て
2021.02.16

古くから世界中の建造物に使われてきた漆喰ですが、そのメリットをご存知でしょうか?

 

日本には四季があり風景に変化をもたらすだけでなく、室内環境にも大きな影響を与えます。春には花粉、夏の高湿度と暑さ、秋が深まる頃から乾燥やホコリが気になり始め、冬にはカビの他に風邪やインフルエンザなどのウイルスに対する対策も必要です。

 

漆喰を壁に塗装することで、これらのような室内環境の改善を期待できます。ですが、漆喰と呼ばれる素材の中でも100%天然でなければその効果を発揮しません。

 

この記事では、天然の漆喰壁のメリットについてご紹介します。

 

乾燥・ウイルスに漆喰

家の気密や断熱がしっかり考えられていても、意外と見落としがちなのが家の中の湿度の問題です。湿度が高ければ不快に感じるだけでなく、室内にはカビやダニが発生しやすくなります。また、湿度が低くなることで乾燥した室内は喉が痛くなったり、肌が荒れたりなどのリスクがあります。

 

家族が風邪やインフルエンザにかかった時には室内の温度を上げるだけでなく、加湿器などで湿度不足をおぎない、他の家族にウイルスが移らないように気をつける方も多いでしょう。

 

インフルエンザのウイルスは空気が乾燥しているとホコリと共に舞い上がり、低温低湿度を好みます。室温20℃前後・湿度50〜60%に保つことで、ウイルスは不活性化しインフルエンザに感染しにくくなります。

 

表面が多孔質な漆喰や自然塗料を塗布した無垢材で仕上げた部屋であれば、湿気の多い日には壁や床の素材が余分な水分を吸収します。また、乾燥が気になる日には壁や床材が蓄えていた水分を放出する「自然の調湿作用」があり、ビニールクロスよりも室内の乾燥やウイルスの蔓延を緩やかにします。

 

子供の成長・アレルギー対策に漆喰

天然漆喰の壁や自然塗料で仕上げた床は、アレルギーの原因となるカビや菌の繁殖を抑える機能があります。静電気の発生を抑え(*)ホコリも舞いにくく、成分に有害な化学物質を含まないため、室内の空気をきれいに保つからです。ビニールクロスと複合フローリングを使った部屋に比べ、より安全性やきれいな空気にこだわりたい、子供部屋や寝室に最適です。

(*静電気については「静電気と部屋の空気について考える」で詳しく触れています。)

 

また、機能性や安全性以外にも自然素材の建材とそうでないものを比較すると、インテリアとしての見た目、質感や経年劣化の違いも顕著です。漆喰には自然のものにしかない手触りやあたたかみ、明るさ、清潔感が感じられ、子どもの五感を刺激するだけでなく、みんなで過ごすリビングや玄関などの空間に使うこともおすすめです。

 

水回りの湿気やカビに漆喰

 

古い家や建物を手入れしながら住み継ぐヨーロッパでも、ドイツ・スイスはとりわけ住宅のカビ対策に関心が高いです。なぜならカビは建物を傷めるだけでなく、呼吸と共に人体に取り込むことで健康に及ぼす影響が大きいことが広く知られているためです。

 

家の間取りを考える時、日当たりが良い方角を居室にし、水回りが北側に配置されがちです。気密や断熱がしっかり考えられ家中の寒暖の差がほとんどなければ良いのですが、湿気やカビについて悩まされることのないよう水回りに使う内装材の選択にも気をつけたいところです。

 

カビ(*)は、

1.湿度(70%以上)

2.栄養(ホコリ・食べ物の残りカス・人の垢・フケなど)

3.温度(20〜30℃)

 

の3要素が大きな発生要因です。

湿度の高い梅雨時以外の冬場でも、カビのエサが多い水回りでは十分な換気とこまめな掃除が欠かせません。漆喰は、アルカリ性が強くもともとカビが生息しにくいpH(水素イオン指数)の状態にあり、カビのエサのもととなるホコリを寄せつけにくい性質ももっています。

多孔質な表面を持つ素材として調湿性にも優れ、何百年も木と同様に建築材料として用いられ続けているのは、素材の持つカビに対する強さにも理由があるのです。

 

(*カビについて「カビについて詳しく知ろう」で詳しく触れています。)

 

メリットを知って天然漆喰を選ぼう!

最近の家づくりでは気密や断熱の重要性が高まり、通年快適な室温や湿度で過ごせるエコハウスも増えてきました。さらに内装の仕上げ材にもこだわることで石油由来建材などの新建材では得られない、空気がきれいで過ごしやすい室内環境を手に入れることができます。

 

近年では、漆喰壁のウイルスやカビ菌・細菌に対する効果が見直されてきており、ビニールクロスや合成樹脂の塗り壁にはない抗菌効果も実証されています。

 

ただし、漆喰と表記されているものの全てが、カビやウイルスの抗菌対策になるわけではありません。カビの栄養分になる有機物(合成樹脂・わら・すさ・糊など)が少ないものを選ぶことがポイントです。

 

天然漆喰のメリットを理解し住宅に取り入れることで、健康で安心して暮らせる住まいづくりを目指したいですね。

 

 天然スイス漆喰「カルクウォール」は北里環境科学センターによる試験で、スイスアルプス産出の高純度の石灰石を主原料とすることによってpH13程度という強いアルカリ性を実現し、抗菌・抗ウイルス効果を高めていることが判明しました。 
成分に有機物をほとんど含まず、万が一カビが発生しても表面を擦るだけで簡単に取り除くことができるカルクウォールの空間なら、いつもきれいな空気で健康的に過ごすことができます。

 

 

筆者プロフィール
岡田さんプロフィール写真        岡田さんプロフィール